令和3年度施政方針及び予算提案説明

ページ番号1005175  更新日 2023年2月28日

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令和3年逗子市議会第1回定例会の開会に当たり、市政運営に関する所信の一端を述べるとともに、令和3年度予算の概要をご説明申し上げます。

市長に就任して2年余りが経過しました。これまでも、これからも、一貫して「現場第一主義」は変わらず貫いてまいります。

市長選挙においても、また市長に就任した時も、任期の半分にあたる2年で方向性を示すと申し上げてまいりましたので、今、その時がきたということであります。

逗子市が進むべき方向は、企業誘致・起業促進による財政再建であり、女性が活躍できるまちを目指すということであります。

platform ZUSHI BIZをスタートさせて1年半、まだ道半ばではあります。今年はコロナを言い訳にはせず、実行する年にすると強く思っております。

また、今まさに100年に一度と言われる新型コロナウィルス感染症の感染拡大の中で、この対策を最優先に取り組んでまいります。

4月から始まるワクチン接種については、いかに混乱なく実施し、市民の皆さまに安全と安心をお届けできるかが喫緊の課題と考えます。それに向け庁内をあげて特別チームを編成し対応に当たるべく準備を整えているところであります。

昨年5月、議員の皆さまにご承認をいただき、財政調整基金12億7,000万円のうち、
6億円をコロナ対策のための基金として新たに創設させていただきました。これにより、逗子市のコロナ対策は大変順調に進めることができましたことを心からお礼申し上げます。

この一年は、コロナ対策基金から3億7,800万円と、国からの臨時交付金5億9,400万円などを活用し、全額が補助事業であるものを除き、総額14億円の事業費により、市民の皆さま、そして事業者の方等への支援と対策をさせていただきました。

対策の基本は常に先手必勝であり、決して後手にはなるなと職員にも強く指示し、実践をしてきたところであります。コロナとの闘いは、この先数年にわたる長期戦と考えております。今後とも気を緩めることなく、緊張感をもって取り組んでまいります。

幸いコロナ対策基金は残高2億3,700万円弱であり、これから交付される国の交付金と合わせ、今後の対策にも十分対応できるものと考えております。

次に、がけ地対策についてです。昨年の2月と4月に起きたがけ崩れにより尊い命を失いました。

無念にもお亡くなりになられたお二人のご冥福をお祈りするとともに、逗子市としましても、この事故を忘れることなく、市民の安全・安心に取り組むことをお誓いいたします。

そこで、新年度予算においてもがけ地対策や市民生活の安全対策に積極的な姿勢を示させていただきました。また、年度の途中でも必要と判断した時には、追加の予算対応をすべきと考えているところであります。何よりも市民の皆さまには、しっかり行政が安全対策に取り組んでいる姿勢をご理解いただきたいと思います。

次に、市内の主要な道路、特にJR逗子駅周辺の交通渋滞は、雨の日の朝はもちろんのこと、特に土日においては慢性的に発生しております。令和3年度においては、市内の交通渋滞対策として、主要道路の渋滞対策のための予備調査及びJR逗子駅前の歩行空間等の向上のための基礎調査を行い、住みやすい、暮らしやすいまちにすべく課題の解決に取り組んでまいります。

また、今回提案いたします議案にもありますが、新たなセクションとしてデジタル推進課を設置し、行政のデジタル化の推進に取り組んでまいります。

令和4年度以降の取組みについてもお伝えをさせていただきます。
これまで公共施設の老朽化対策は、計画はあれどなかなか実施の方針を示すことができませんでした。

令和3年度のなるべく早い時期に再度費用の見直しと施設の統廃合の必要性の有無も点検し、市債などの特定財源を見込める工事とそうではない一般財源だけのものとを仕分けします。一般財源での費用を確定できれば、財政調整基金からの費用の捻出もやがて上限が決まります。市債の償還により財政運営に支障が起こらないように、いかに一定の枠内で安定して運営できるかも検討いたします。この件につきましては、令和3年度中に今後の考え方をしっかりと整理し、お示ししてまいりたいと思います。

次に令和4年度中に、中学校給食は食缶方式に移行することとします。どこで調理するかの課題はありますが、中学校側の受け入れ態勢を整えるための施設整備も必要であり、令和4年度の夏休み期間中に改修したいと、現時点では考えているところです。

解決すべき課題は沢山ありますが、食育も大事な教育の一環です。子どもたちの笑顔を一日でも早く見られるように準備を進めてまいります。

最後に、コロナ禍において、新しい生活様式により逗子市は大変に優位な立場になりつつあります。逗子の環境が気に入り、新たに移住を希望する若い子育て世代が増えているとすれば、そのような方々のためにも、教育を充実させ魅力を感じてもらうことが重要であり、逗子市の将来を考えるとき、教育は未来を創る仕事であると思います。

それでは、令和3年度に実施する、「オンリーワンのまちづくりを進めていくための5つの方針」を実現するための重点施策について、ご説明いたします。

5つの方針

企業誘致と起業促進で財政的に自走できる自治体への財政構造の転換

第1の方針は、「企業誘致と起業促進で財政的に自走できる自治体への財政構造の転換」です。

個人市民税以外にも歳入の柱を作るため、企業誘致・起業促進に向けた取組みとしてのplatform ZUSHI BIZは、令和2年度は新型コロナウイルスの影響でほぼ休止状態でしたが、令和3年度はオンライン会議を試行するなどして、活動を活発化させていきたいと考えています。一方、こうした中でも現在の登録者数は92人となり、健康医療分野と地域エネルギー分野で2つのワーキンググループが立ち上がりました。ワーキンググループの活動を支援しながら、いわゆる次世代医療基盤法に基づく医療・介護のビッグデータの活用や地域エネルギービジネスの実現に向けて、行政としても協力していきたいと考えています。

また、コロナ禍にあって、テレワークが求められる中、逗子市においてもワーケーションの取組みを進めています。市内でのワーケーションが進めば、実際に足を運ぶ人も増えることから、東京まで1時間のアクセスの良さや豊かな自然環境をはじめとした逗子の魅力を、都内の企業などに広く知ってもらうきっかけをつくることができます。その結果、関係人口だけではなく“関係法人”を創出することも期待できることから、企業誘致の取組みの一つとして注力してまいりました。

逗子会館を活用したワーケーションの実証実験は、オープン当初はテレビなどにも取り上げられて注目されたところですが、新型コロナウイルスの影響で7月から10月までの月平均利用人数は7人程度と利用が伸びず、実証実験としてのデータも不十分な状況となっています。令和3年度においても、引き続き実証実験を軸に、逗子らしいワーケーションを活性化させていくとともに、ウィズコロナ、アフターコロナの新しい生活様式に合致した取組みとして推進していきます。

市内には企業が少ない状況ですが、企業の経営者は豊富です。コロナ禍にあって、著名な企業経営者も複数移住してきています。自走できるまちに向けて一歩進むために、こうした方々の力を企業誘致や起業促進に活かすことができればと考えておりますので、簡単な取組みではありませんが、果敢に挑戦してまいります。

令和2年度から「女性が活躍できるまち」という観点から、企業誘致、起業促進に向けた検討を進めてきました。一方、コロナ禍にあって、逗子市ではファミリー層に転入超過している傾向が見られますが、これは在宅勤務の増加など、毎日通勤しなくてよい働き方が追い風となって、自然環境のよい逗子で子育てをしたいという希望があるからだと考えます。そうして転入してきた子育て世代の人材を活用することは、逗子市が飛躍できるきっかけになると考えています。

子育て中の人が、ブランクを作らず仕事を継続することができ、子育ての希望も仕事の希望も叶えられるよう、子育て期のライフスタイルにあった働き方のできる働きやすい環境づくりが大切です。そこで、保育的機能を有する事業所の開設も逗子市の特徴として打ち出せるよう、引き続き関係者と強固な関係を築きながら、知恵を出し合って実現させていきたいと考えています。令和2年度は新型コロナウイルスの影響で身動きができないような状況でしたが、令和3年度は取組みを加速させていきたいと考えています。

なお、今回の予算編成では、私の予算査定の段階で経常的経費が増加している部局について予算要求額の1パーセントのシーリングをかけました。たとえ1パーセントでも積み重ねていくことで大きな効果につながると考えています。令和4年度はより厳しい状況が予想されるため、選択と集中の観点から事業の見直しを含め、限られた予算を適切に配分できるよう検討してまいります。

子育てしやすいまちづくり

第2の方針は「子育てしやすいまちづくり」です。

今般の新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、働き方にも変化が表れてきたと感じています。

逗子市内では、子育て世帯、特に30代の移住希望者が生活環境を調べるために幼稚園、保育園、小学校、放課後児童クラブなどに問い合わせる電話が増えていると報告を受けています。

また、移住希望者への情報はメディアでも伝えられており、逗子市や葉山町、湘南地区への移住を考えている人が多いとも報道されています。

このため、受入れ先の保育施設に空きがあるのかという不安などから、逗子市への転入をあきらめてしまうことがないように、子育て世帯転入増加への対処に関する戦略等の検討プロジェクトチームを設置し、対策を検討してまいりました。しっかりとした対策をとることで、逗子市の将来に大きな影響を与えると確信しています。

各保育園には、受け入れ人数の見直しなど弾力的な運用での対応をお願いしながら、保育的機能を有する企業の誘致などの取組みを続けてまいります。

逗子市に限らず全国的に保育士の確保が年々困難となっている状況に鑑みて、人材確保に苦慮する保育所に対する補助を拡充するとともに、市内の民間認可保育所に就労した保育士に対し市から直接補助を行うことで、より一層の支援をしていきます。

また、保育士の離職、転職などによる人材不足にならないよう、その先の方策も検討してまいります。

ハード面での対策としましては、市内民間保育所の行う施設整備費用に対し、国庫補助制度を活用しながら定員の増加による待機児童対策としての補助を継続してまいります。

学校教育におきましては、国のGIGAスクール構想に基づき、校内無線LAN及び児童・生徒に一人1台の端末整備を今年1月末に完了いたしました。

今後、授業での効果的な活用に向け、教職員に対する研修の充実、各学校間での情報共有や他の自治体による先進事例を調査、研究していくとともに、学習保障の観点からオンライン教育の実施について検討いたします。

現在の市立小中学校の整備は、急激な人口増加があった昭和40年から50年代に集中しているため、多くの施設で老朽化が顕著となっており、現在、学校施設の長寿命化計画の策定作業を進めているところです。

令和3年度においては、築年数が50年を超え特に老朽化が進行している久木小学校の校舎長寿命化基本設計を実施し、整備の方向性を決定したいと考えております。

小学校給食につきましては、民間委託等ロードマップに基づき、調理業務の民間委託を進めてまいります。まずは、令和3年9月から、逗子小学校での調理業務委託を開始いたします。

なお、繰り返しになりますが、中学校給食につきましては、現在のボックスランチ方式から食缶方式へ移行する判断をいたしましたので、令和4年度中に提供開始ができるよう準備を進めてまいります。

また、不登校児童・生徒を作らない取組みとして、授業に関するアンケート調査の結果をもとに、わかりやすい授業づくり、お互いを認め合う学級づくりを中心に授業改善を行ってまいりました。引き続きこの取組みを継続していくとともに、フリースクール等との連携を図りつつ、不登校児童・生徒への対応に取り組んでまいります。

高齢者や障がいのある人が安心して暮らせるまちづくり

第3の方針は「高齢者や障がいのある人が安心して暮らせるまちづくり」です。

これまでも、元気な高齢者を増やそうプロジェクトとして、要介護状態となることを予防するための取組みを進めてまいりましたが、コロナ禍にあっても感染対策をしながら市民に身近な通いの場において、ICTを活用したスポーツの習慣化や栄養状態の改善を図るための介護予防の取組みを進めてまいります。

長年、逗子市で生活されてきた方々が住み慣れた地域で暮らせる地域共生社会の構築を目指すため、重層的支援体制整備事業を実施し、ひきこもり、8050世帯やダブルケアの課題などを包括的に受け止めていく地域づくりに多機関協働で取り組むことが重要であります。

また、介護予防とともに介護人材の確保は喫緊の課題であり、令和3年度からの第8期逗子市高齢者保健福祉計画におきましても、介護人材の確保を新たな政策の方向性と位置づけ、人材確保策を推し進めていくほか、インターネット等を通じて介護事業所から積極的に情報発信を行うなど、介護人材の定着を図る取組みをいたします。

障がいのある人や家族の高齢化等を見据え、地域生活拠点等に集約される機能を複数の機関が連携し、障がいのある人の生活を地域全体で支えるサービス体制として充実する取組みの一つとして、短期入所施設だけではなく通所施設等においても、緊急時の受け入れと対応ができるよう地域生活支援拠点等の機能を充実させてまいります。

令和2年度に高齢者など日中に移動手段を持たない人の買い物や通院等の移動手段として、既存の公共交通を補完する新たな公共交通の導入についての実証実験をアーデンヒルにおいて行う予定としておりましたが、新型コロナウイルスの影響により実施できなかったことから、改めて半年間の実証実験を行った後に本格運行の実施を目指します。

既に介護施設や自治会等のご協力により買い物などの移動支援が行われている地域がありますので、継続的に運行していくことができる仕組みづくりを検討いたします。

大規模な自然災害への備えと危機管理

第4の方針は「大規模な自然災害への備えと危機管理」です。

幸いにも昨年は大型台風の接近、上陸はなかったものの、自然災害には十分備えていく必要があることに変わりはありません。先日には、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震があり、逗子市は震度3でありました。

いつ起こるかわからない災害に備えていくため、避難所備品の充実を図っておりますが、特に、妊産婦の方や乳児用の備品を増備することや、第一運動公園にマンホールトイレを整備することにより、避難所生活の不安を解消してまいります。

近年、台風や地震の影響だけではなく、がけ崩れが発生しており、日頃の備えが欠かせないと考えます。

このため、令和元年度から始めました主要な市道沿いの土砂災害警戒区域に接する斜面地に係る職員による定期点検を継続していくとともに、ホームページに設けた「市民通報メール」により情報提供をいただき、適切な対応につなげていくことで市民と行政が連携して、まちの安全を維持していきたいと考えております。

市有地のがけ地対策としましては、対策が必要とされる箇所について、令和3年度中に対策済みとなる予定であります。

また、緑地につきましても、斜面の状態や樹木の状況から安全対策が必要な箇所の計画的な管理伐採や法面防護工事を実施いたします。

民有地における対策としては、防災工事助成制度の積極的な活用を促していくとともに、急傾斜地崩壊対策事業においては神奈川県と連携し必要な対策を進めてまいります。

ほかにも水難救助体制の充実強化を図るため、小坪分署に水上オートバイを配備いたします。

魅力あふれるまちづくり

第5の方針は「魅力あふれるまちづくり」です。

平日の夕方や土日祝日には、市内の主要な道路、特にJR逗子駅周辺の交通渋滞が慢性化しており、暮らしやすさを考えるうえで重要な課題と認識しております。

そこで、この交通渋滞解消に向けた布石を打ちたいと考え、市内交通渋滞対策予備調査として、文献調査やヒアリング調査を中心とした予備的調査を実施し、問題、原因の把握と対応策を検討いたします。

総合計画では、商業地の土地利用方針として、「なぎさ通り、池田通り、銀座通りの通り筋は、誰にとっても安全な歩行空間等の確保や海辺のまちとしてのまちなみの景観を誘導し、コンパクトでアメニティに富んだ商業空間として形成し、にぎわいとくつろぎの持てる商業環境へと改善を図ります。」と定めております。

JR逗子駅周辺では、民間によるビル等の建て替え計画が複数予定されていると伺っております。逗子市といたしましても、どのように駅前周辺の歩行空間を確保していくかを検討するため、交通実態の把握や課題抽出、環境整備の検討等の基礎的な調査を行います。

JR東逗子駅前用地の活用につきましては、用地の南側に隣接する民有地と一体的に利活用する方向で検討してまいりましたが、地権者が土地の利活用について慎重に検討されているため、協議を継続している状況にあります。将来的に東逗子地域の中心的な施設となるよう、公共施設の再配置も併せて検討を進め、令和3年度には一定の方向性を出していきたいと考えております。

空き家対策におきましては、株式会社パブリックサービスの市民貢献事業である空き家活用支援助成制度が有効に機能し、空き家バンクの登録件数は増えている状況にあります。

今後も、住民自治協議会や自治会単位での空き家予防セミナーの開催など、予防啓発にも努めていき、空き家解消に向けた取組みを続けてまいります。

国においてデジタル庁が創設されることに伴い、4月からデジタル化の推進を目的としてデジタル推進課を設置いたします。ICTを活用した取組みを進めていくうえで、行政の中にIT人材をどう確保するかという課題もありますが、世の中の進化についていかなければなりません。情報セキュリティ対策に細心の注意を払いつつ、スピードを上げて取り組んでまいります。

新型コロナウイルスの影響により、東京2020オリンピック・パラリンピックは1年延期となっております。コロナ禍においては、今年の開催も予断を許さない状況にありますが、感染症対策に十分取り組み、安全にスペインセーリングチームの事前キャンプを受け入れるとともに、開催期間中にコミュニティライブサイトを実施するなど、盛り上げを図ってまいります。

パラリンピックにつきましては、逗子海岸でビーチキャンドルを実施し、逗子市の火を神奈川県の聖火フェスティバルに届けます。

この大きなイベントの終了後は、小坪海浜地域の来訪者等の利便性を高める目的で国有海浜地を時間貸し駐車場として活用する準備を進めます。小坪海浜地域活性化計画を進めるうえで、小坪漁港の活性化は必須の課題であり、小坪漁業協同組合が主体となって行うイベント開催などを通じ、方向性を引き続き検討してまいります。

昨年の夏は、残念ながら海水浴場を開設いたしませんでした。今年の夏に向け、神奈川県の海水浴場のガイドラインを基本として、新型コロナウイルスの感染状況、近隣市町の開設状況等を勘案し、開設か見送りかを適切に判断したいと考えております。

コロナ禍の後の海水浴場が、さらに安心・安全で快適に利用できるよう、ブルーフラッグ認証取得につきまして、逗子海岸営業協同組合と協働で取組みを進めてまいります。

地球規模での自然災害について、地球温暖化との関連も指摘されるなど、国において脱炭素社会の実現として2050年までのカーボンニュートラルが目標に掲げられています。気候変動への対応は、2030年までの10年が正念場とも言われており、大胆な社会変革が必要であると認識しております。市の事業におきましても、積極的に脱炭素に向けた取組みについて実施していくよう努めてまいります。

重要課題

最後に、特に慎重に検討をしていくべき重要課題として、総合的病院の誘致につきましては、進めてきた計画を断念する結果となり誠に残念な思いです。しかし、病院誘致をあきらめるということではありません。当面は、市民、地元医師会、行政において地域医療がどうあるべきかを考えていく場を設け、検討を進めてまいります。また、有識者など多方面からもご意見をいただきながら、市民が望む病院の実現に努めます。

また、もうひとつの重要課題である池子米軍家族住宅問題につきましては、池子米軍家族住宅地区内に整備が計画されている生活支援施設等について、引き続き情報の提供を求めてまいります。

以上、令和3年度の施政方針について、所信の一端を述べさせていただきました。

就任3年目となる令和3年度も、現場第一主義を貫き、課題解決に力強く取り組んでまいります。

予算提案説明

続いて、令和3年度予算案についてご説明いたします。

まず、一般会計の概要について、歳入からご説明いたします。
市税につきましては、まず全体では、前年度と比較して2億4,657万9,000円減の90億2,463万2,000円を計上しました。
このうち市民税は、前年度と比較して1億7,400万円減の48億6,000万円を計上しました。
固定資産税は、前年度と比較して6,297万9,000円減の32億9,433万1,000円を計上しました。
地方消費税交付金は、地方消費税率の引き上げと経済状況を考慮し、前年度と同程度となる9億9,000万円を計上しました。
地方特例交付金は、固定資産課税の特例措置に伴う地方税減収補てんを見込み、前年度と比較して500万円増の5,000万円を計上しました。
地方交付税は、令和2年度の交付実績及び国の地方財政対策などにより、前年度と比較して6,300万円増の13億7,000万円を計上しました。
使用料及び手数料は、駐輪・駐車場使用料、じんかい処理手数料、家庭ごみ処理手数料などの減少により、前年度と比較して2,547万6,000円減の4億398万7,000円を計上しました。
国庫支出金は、道路災害復旧費負担金、重層的支援体制整備事業交付金、道路メンテナンス事業費補助金などの財源により、前年度と比較して3億5,274万3,000円増の32億4,720万円を計上しました。
県支出金は、東京2020オリンピック・パラリンピック推進事業に係るホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策事業補助金などにより、前年度と比較して6,227万9,000円増の14億5,084万2,000円を計上しました。
寄附金は、ふるさと納税について、前年度と比較して7,000万円増の1億7,000万円を見込み、総額では、前年度と比較して7,590万円増の1億8,075万1,000円を計上しました。
繰入金は、年度間の財源調整のための財政調整基金繰入金5億5,000万円など、前年度と比較して3億3,347万5,000円増の7億1,999万8,000円を計上しました。
市債は、臨時財政対策債10億円など、前年度と比較して5億7,800万円増となる15億9,800万円を計上しました。

次に、歳出における性質別経費の内訳についてご説明いたします。
人件費は、欠員の補充等による増加、会計年度任用職員報酬の増加、前年度からの退職手当の増加などにより、前年度と比較して1億955万1,000円増の47億6,342万2,000円を計上しました。
扶助費は、幼児教育・保育無償化に係る施設型給付事業などの児童福祉費の増加などにより、前年度と比較して2億2,117万円増の50億9,164万5,000円を計上しました。
物件費は、介護保険事業特別会計から移行した重層的支援体制整備事業費や緑地管理伐採業務委託経費の増加などにより、前年度と比較して3億3,806万6,000円増の36億8,692万2,000円を計上しました。
投資的経費は、焼却処理施設改修工事の増加などにより、前年度と比較して4億6,609万3,000円増の10億4,899万2,000円を計上しました。

以上の結果、一般会計予算総額は、前年度と比較して11億3,800万円、率にして5.9パーセント増の203億9,700万円となっています。

次に、特別会計では、国民健康保険事業が前年度と比較して1.1パーセント増の59億4,250万円、後期高齢者医療事業が前年度と比較して1.6パーセント増の13億3,520万円、介護保険事業が前年度と比較して14.7パーセント減の62億7,210万円となり、公営企業会計では、下水道事業が前年度と比較して3.4パーセント減の29億2,219万8,000円となります。

以上の結果、一般会計と特別会計及び公営企業会計を合わせた予算総額は368億6,899万8,000円となり、前年度と比較して4,282万4,000円、率にして0.1パーセントの増となりました。

次に、令和3年度の市政運営に当たっては、総合計画基本構想に掲げた将来像「自然に生かされ、自然を生かすまち」、「コミュニティに支えられ、コミュニティを支えるまち」に向けて、「わたしたちはこんなまちにしていく」を実現するための5本の柱を推進するとともに、市民の悲願である池子の森全面返還を目指し、まずは池子米軍家族住宅地区内約40ヘクタールの土地及び逗葉地域医療センター・逗子市保健センター進入路の返還に向けて取り組んでまいります。

1 共に生き、心豊かに暮らせるふれあいのまち

まず、「1 共に生き、心豊かに暮らせるふれあいのまち」についてご説明申し上げます。

社会福祉費のうち、地域共生社会推進事業は、福祉の総合相談機能を有する包括的な相談支援体制を構築するための経費1,936万9,000円を計上するほか、地域介護予防活動支援事業、地域包括支援センター運営事業、生活支援体制整備事業をそれぞれ計上しました。

介護人材確保事業は、人材の確保に苦慮する介護事業所に対する補助に加え、地域の人材が市内介護事業所に就労することへの奨励をするなどの経費として162万8,000円を計上しました。

介護保険事業特別会計のうち、特別給付費給付事業は、要介護者がタクシーによる移送サービスを受けられる要件を緩和する経費を含む、301万7,000円を計上しました。

一般会計に戻りまして、障害者自立支援給付等支給事業は、地域生活支援拠点等に係る緊急時の受け入れ、対応に係る経費を含む、8億7,598万6,000円を計上しました。

児童福祉費のうち、地域型給付事業は令和3年4月から新たに開設する予定の小規模保育所があることから、利用者に対する給付費の増加を見込み、2億2,681万8,000円を計上しました。

民間保育所等運営支援事業は、人材の確保に苦慮する保育所に対する補助金400万円のほか、市内保育所に就労した保育士に対する補助金100万円を含む、5,776万5,000円を計上しました。

保育所等緊急整備事業は、認可保育所が実施する園舎建替えに伴う施設整備に対し補助を行う経費として1,457万8,000円を計上しました。

2 共に学び、共に育つ「共育(きょういく)」のまち

次に、「2 共に学び、共に育つ「共育(きょういく)」のまち」についてご説明申し上げます。

小学校費のうち、学校施設整備事業は、久木小学校校舎について長寿命化基本設計業務委託経費を含む、1,890万4,000円を計上しました。

学校給食調理等事業は、逗子小学校の給食調理を令和3年9月から民間委託する経費として1,998万8,000円を計上しました。

社会教育費のうち、図書館活動事業は、館内のWi-Fi環境を整備する経費などとして417万6,000円を計上しました。

保健体育費のうち、東京2020オリンピック・パラリンピック推進事業は、スペインセーリングチームが市内でキャンプを行うに当たり、市民との交流等を通じ、セーリング競技の普及啓発及び気運醸成を図るための経費に加え、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費を含め2,990万8,000円を計上しました。

3 自然と人間を共に大切にするまち

続いて、「3 自然と人間を共に大切にするまち」についてご説明申し上げます。

環境保全費のうち、近隣公園維持管理事業は、桜山中央公園擁壁補修工事など1,523万7,000円を計上しました。

4 安全で安心な、快適な暮らしを支えるまち

続いて、「4 安全で安心な、快適な暮らしを支えるまち」についてご説明申し上げます。

総務管理費のうち、防犯対策事務費は、防犯カメラの購入費補助及び迷惑電話防止機能の付いた電話機の購入費補助経費などとして116万8,000円を計上しました。

水産業費のうち、水産業振興事業は、小坪漁港を活用し地域活性化を促進するための経費に対する補助金などとして950万5,000円を計上しました。

環境保全費のうち、緑地安全対策事業は市が所有する緑地の適切な保全のための管理伐採及び法面防護工事の経費などとして6,905万2,000円を計上しました。

土木管理費のうち、防災工事助成事業は、がけ地の崩落などの災害を防止するために行う防災工事の費用の一部を助成する経費などとして900万円を計上しました。

急傾斜地崩壊対策事業は、工事費負担金などとして1億4,100万8,000円を計上しました。

道路橋りょう費のうち、橋りょう長寿命化事業は、逗子インターチェンジ第一歩道橋修繕工事などとして7,287万9,000円を計上しました。

道路改良事業は、新宿65号道路災害復旧工事のほか、JR逗子駅前の歩行空間等の向上のための基礎調査に係る経費を含む、2億2,336万1,000円を計上しました。

都市計画費のうち、都市計画策定事業は、JR逗子駅周辺をはじめとする主要な道路の渋滞対策のための予備調査業務委託経費などとして1,427万円を計上しました。

下水道事業会計のうち、管路建設費は、管路施設総合地震対策計画策定業務委託料及び第一運動公園へのマンホールトイレシステム整備に係る工事費などとして1億9,439万2,000円を、処理場建設改良費は、処理場長寿命化対策工事費及び下水道施設再整備に係る委託料などとして4億4,092万3,000円をそれぞれ計上しました。

一般会計に戻りまして、消防費のうち、小坪分署整備事業及び北分署整備事業は、自家発電設備の改修経費として819万5,000円をそれぞれ計上しました。

消防装備整備事業は、消防力の充実強化のため水上オートバイを購入する経費などとして718万9,000円を計上しました。

車両整備事業は、消防ポンプ自動車の更新経費などとして3,709万6,000円を計上しました。

災害対策事業は、災害用備蓄食料等の購入、福祉避難所の備品購入、土砂災害等ハザードマップの作成経費などとして2,107万1,000円を計上しました。

5 新しい地域の姿を示す市民主権のまち

続いて、「5 新しい地域の姿を示す市民主権のまち」についてご説明申し上げます。

総務管理費のうち、広報ずし発行等経費は、広報ずし臨時号の発行を含む広報ずしの発行経費などとして1,306万5,000円を計上しました。

総合計画策定事業は、人口推計や市民意識調査などの基礎資料の作成に係る経費などとして445万7,000円を計上しました。

デジタル推進事業は、行政手続等のデジタル・オンライン化による市民の利便性の向上などデジタル技術の活用を推進する経費として140万9,000円を計上しました。

国際交流推進事業は、フェアトレードの啓発に要する経費などとして32万6,000円を計上しました。

池子の森全面返還をめざして

「池子の森全面返還をめざして」については、逗子市池子接収地返還促進市民協議会助成事業11万6,000円を計上しました。

効果的・効率的な自治体経営の推進

最後に、「効果的・効率的な自治体経営の推進」について、企業誘致等推進事業は、企業誘致を推進する取組みの一環として、企業版ふるさと納税制度を活用する経費などとして37万6,000円を計上しました。

以上、重点施策について説明させていただきました。

一般会計予算

引き続き、一般会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ203億9,700万円とするものです。
第2条は、債務負担行為について、債務を負担する行為をすることができる事項、期間及び限度額を定めたものです。
第3条は、地方債について、起債の目的、限度額、起債の方法などを定めたもので、限度額は15億9,800万円としています。
第4条は、一時借入金について、借入れの最高額を14億円と定めたものです。
第5条は、歳出予算のうち、人件費に限り同一款内における各項間の予算流用を行うことができるように定めたものです。

次に、国民健康保険事業特別会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ59億4,250万円とするものです。
第2条は、一時借入金について、借入れの最高額を1,000万円と定めたものです。

次に、後期高齢者医療事業特別会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ13億3,520万円とするものです。

次に、介護保険事業特別会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ62億7,210万円とするものです。

次に、下水道事業会計予算についてご説明いたします。
第1条は、予算の総則を定めたものです。
第2条は、業務の予定量について定めたもので、処理区域内人口を5万9,381人とし、主要な建設改良事業は、管路建設費及び処理場建設改良費とするものです。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額について定めたもので、収入予定額は第1款の下水道事業収益として17億6,642万2,000円、支出予定額は第1款の下水道事業費用として18億5,075万円とするものです。
第4条は、資本的収入及び支出の予定額について定めたもので、収入予定額は第1款の資本的収入として6億6,656万1,000円、支出予定額は第1款の資本的支出として10億7,144万8,000円とするものです。
第5条は、継続費の経費の総額及び年割額を定めたものです。
第6条は、債務を負担する行為をすることができる事項、期間及び限度額を定めたものです。
第7条は、企業債の目的、限度額、起債の方法などを定めたもので、その限度額は3億6,622万円とするものです。
第8条は、一時借入金の限度額を4億円と定めたものです。
第9条は、予定支出の各項の経費の金額の流用について、営業費用及び営業外費用の間の流用を行うことができるよう定めたものです。
第10条は、議会の議決を経なければ流用することのできない経費を定めたものです。
第11条は、他会計からの補助金について定めたものです。

以上が、令和3年度の逗子市の予算の概要でございます。
議員の皆さまにおかれては、何卒、ご賛同賜りますようお願い申し上げまして、施政方針及び予算提案説明を終わらせていただきます。
長時間にわたりご清聴いただき、ありがとうございました。

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