令和4年度施政方針及び予算提案説明

ページ番号1005174  更新日 2023年2月28日

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令和4年逗子市議会第1回定例会の開会に当たり、市政運営に関する所信の一端を述べるとともに、令和4年度予算の概要をご説明申し上げます

市長に就任して3年余りが経過し、いよいよ任期の最終年となりました。昨年お示ししましたとおり、逗子市が進むべき方向は、企業誘致・起業促進による財政再建であり、女性が活躍できるまちを目指すことにあると考えます。

企業誘致・起業促進については、この間 platform ZUSHI BIZをはじめ、様々な角度から挑戦してまいりましたが、まだ道半ばであります。一方、財政再建については、一定の目処が立ってまいりました。財政調整基金については、財政対策プログラム策定当初の残高が約1億円でしたが、令和2年度末残高は約19億2,000万円になりました。令和3年度当初予算に5億5,000万円の繰入れを計上しましたが、今定例会に提案する補正予算では約9億9,000万円の積立てを計上しており、年度末残高としては約23億7,000万円を見込んでおります。

財政調整基金の活用には慎重を期すべきではありますが、年度間の財源の不均衡の調整機能として、税収減少や自然災害への対応のほか、本市の重要課題への取り組みに対し、適度な繰入れは必要と考えます。

公共施設の老朽化・長寿命化対策については、まず、公共施設整備計画(第1期 実施計画)では令和4年度から5か年にわたり39億円程度の事業費を想定しています。計画に盛り込まれている内容を着実に進めていくため、実質収支額の一定割合を財源とするよう予算編成段階で調整を行ってまいります。これは、財政調整基金の残高が12億円を下回らない範囲で行います。また、今定例会に提案する補正予算において公共公益施設整備基金への積立てを行い、これまで計画はあれども、予算措置が見送られることが多かった公共施設の老朽化・長寿命化対策において、令和5年度以降の公共施設整備計画期間内の年度計画額の財源や、学校施設その他インフラ整備に要する財源が不足する場合の調整機能として活用できるようにしてまいります。

一方、公園遊具等については修繕対応できていない遊具が多数あることから、使用再開を求める多くの声をいただいています。こうした遊具の改修についても着手していきたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症対策も3年目となります。アフターコロナ対策と併せて、令和4年度も最優先事項として取り組んでまいります。何よりも市民の皆様が安心できるまちであること、これが第一であります。

1・2回目のワクチン接種では、当初は国からの供給量が安定しておりませんでしたが、供給量に応じて年齢順に細分して接種券を送付する「逗子方式」が功を奏し、スムーズに進めることができました。3回目の追加接種につきましては、昨年12月から医療従事者への接種を始めており、1月からは高齢者施設等の入所者・従事者や高齢者への接種を前倒して行っています。2月からは体験学習施設スマイルにおいて集団接種会場の開設も予定しており、1・2回目と同様に混乱なく円滑に接種を受けていただけるよう、万全に準備を進めております。また、3月以降には、5歳から11歳の小児への接種も予定しております。令和4年度においても新型コロナウイルス感染症における現在最も有効な対策として、ワクチン接種を進めてまいります。

令和2年度に創設したみんなで乗り越える新型コロナウイルス感染症対策基金6億円については、国の地方創生臨時交付金と併せてコロナ対策等に活用させていただきましたが、ふるさと納税による寄附金をいただいたこともあり、令和3年11月末現在の残高は約5億円となっています。引き続き市民、事業者の皆様への支援と対策を行っていきます。

令和3年度は、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者向けに、中小企業診断士による専門的見地から経営全般に関する相談を受けられるよう、相談窓口を設置いたしました。相談件数は300件を超え、国や県の補助金に関する相談のほか、アフターコロナに向けた事業・業種転換に関する相談も増えたと報告を受けています。令和4年度も事業者の事業継続のために、事業者向けの相談窓口の開設を継続して支援してまいりたいと考えています。

国が脱炭素社会の実現として2050年までのカーボンニュートラルを目標に掲げている中、このたび本市においても「チャレンジ!逗子カーボンニュートラル2050(ニーゼロゴーゼロ)」を宣言し、脱炭素に向けた取り組みの更なる充実、強化を図ります。住宅都市という本市の特性上、生活全体に関係する温室効果ガス排出の大幅な削減が必要となることから、市民一人ひとりの理解とライフスタイルの変革(イノベーション)が不可欠です。市民、事業者の皆様と一体となって、2050年温室効果ガス排出実質ゼロを目指して取り組んでまいります。

令和3年4月からデジタル推進課を設置し、デジタル社会の構築に向けた取り組みをスタートさせ、この1月には逗子市のデジタル・ガバメント推進についての方針を策定したところです。現在、新型コロナウイルス感染症予防対策及び本市のDXの一環として住民票等の請求の電子申請化、並びに証明書交付窓口にセミセルフレジの導入に向け準備を進めており、令和4年度のごく早い時期に運用を始める見込みです。セミセルフレジにつきましては、他の各種証明書等交付窓口での活用拡大を検討していきます。

令和4年度も引き続き積極的にDXに取り組み、市民の皆様が来庁することなく手続き等ができるような市役所を目指してまいります

それでは、令和4年度に実施する「オンリーワンのまちづくりを進めていくための5つの方針」を実現するための重点施策について、ご説明いたします。

5つの方針

企業誘致と起業促進で財政的に自走できる自治体への財政構造の転換

第1の方針は、「企業誘致と起業促進で財政的に自走できる自治体への財政構造の転換」です。

企業誘致・起業促進に向けた取り組みの一つとして進めてきた platform ZUSHI BIZは、参加者も120名を超え、令和元年度の開始以降、参加者と連携して獲得した国・県等の補助金も4,300万円超となるなど、一定の成果は表れていると感じています。新型コロナウイルスの影響で計画どおりに開催できない状況が続いていますが、本市をフィールドとした具体的な取り組みに結実できるよう努めてまいります。

また、ワーケーションは、新しい働き方を模索する動きに対応すべく取り組んできました。ここまで、地方創生推進交付金等の特定財源や国のモデル事業の活用などで、施設整備、ホームページ等の情報発信ツールの整備、市内事業者との連携関係の構築、そしてモニターツアーの実施など段階を踏んで進めてまいりました。市内でのワーケーションが進めば、実際に足を運ぶ人も増え、東京までのアクセスの良さや豊かな自然環境をはじめとした逗子の魅力を、都内の企業などに広く知ってもらうきっかけとなります。令和4年度には、これまでの取り組みを生かすよう、企業による継続的なワーケーションの実施を推進するための事業を実施し、“関係法人”の創出を目指すツールとして引き続き推進していきます。

一方、「女性が活躍できるまち」という観点から、子育て中の人が子育ての希望も仕事の希望も叶えられるよう、保育的機能を有する事業所の開設を支援する補助金を創設しましたが、企業側の検討もなかなか整わず、令和3年度での開設は実現できませんでした。しかしながら、複数の事業者が検討を進めていることから、令和4年度には令和3年度に予定していた分と合わせた額の補助金を用意し、実現を目指してまいります。

また、令和2年度から企業版ふるさと納税を受け入れる態勢を整えており、この制度の活用により個人市民税以外の歳入増を目指すとともに“関係法人”を増やし、ゆくゆくは企業誘致へとつなげていきたいと考えています。

子育てしやすいまちづくり

第2の方針は、「子育てしやすいまちづくり」です。

昨年の明るいニュースとして、給付型奨学金制度創設のために、本市出身の篤志家から10億円の寄附の申し出がありました。そこで、寄附者の意向に沿った奨学金給付事業を開始するため、寄附金を原資として今月奨学金財団を設立し、4月から募集を開始するところです。令和4年度は4月に大学に入学する学生5人に対して、一人年間72万円の奨学金給付を予定しています。

中学校給食については、令和4年9月からアレルギー除去食にも対応した食缶方式による提供を開始します。また、そのために必要な校舎の改修等を行ってまいります。

現在の市立小中学校の施設は、一部を除き昭和40年から50年代に建築したため、老朽化が進んでいます。築年が最も古い久木小学校については、令和3年度に策定する整備基本計画に基づいて具体的な整備の基本設計を行ってまいります。

また、市立小学校ではプールの老朽化も進んでいます。今後想定されるプールの再整備費や維持管理費よりも予算を抑え、天候に左右されないというメリットがあることから、令和4年度より全ての市立小学校の水泳学習を、市民交流センターの屋内温水プールにおいて実施することとします。

この変更を受けて、JR東逗子駅前用地に設置している沼間小学校区放課後児童クラブについては、沼間小学校のプールの場所に施設を新築し、移転することを計画いたしました。令和4年度は基本設計及び実施設計を行い、令和5年度にプール施設の解体と放課後児童クラブ施設の建設を行う予定です。

保育所の待機児童対策としては、国の保育所等整備交付金を受け、市内民間保育所の園舎の建て替え工事に対する補助を引き続き実施します。これにより、定員の増員とともに年齢配置の調整を行い、希望者が多い0歳児及び1歳児クラスの定員を10名増員することから、待機児童対策に大きく寄与するものと考えています。

このほか、全ての市立小中学校及び市立保育園に防犯カメラを設置するとともに、市立保育園にはこれに加えて門扉に電子錠とカメラ付きインターフォンを設置するなど防犯対策を強化することで、子どもたちの安全安心な環境をさらに充実させていきます。

また、繰り返しになりますが、公園の遊具の使用禁止の状況を解消させるべく、令和4年度と5年度に重点的に取り組んでまいります。遊具を復活させ、子どもたちが遊べる環境を整えていきたいと考えています。

体験学習施設スマイルについては、民間企業の柔軟な発想などを取り入れつつ、子育て、教育、福祉等の分野が連携して、より有効で、より魅力的な施設となるよう検討をしてまいります。

高齢者や障がいのある人が安心して暮らせるまちづくり

第3の方針は、「高齢者や障がいのある人が安心して暮らせるまちづくり」です。

本市は県内でも高齢化率が高く、一人当たりの医療費も年々増加しています。生活習慣病や要介護状態となることを予防するため、ゲーム機を活用した介護予防やラジオ体操、ポールウォーキングなどの歩行機会の増加による運動・スポーツの習慣化を積極的に推進してまいります。併せて、管理栄養士によるフレイルの要因である低栄養状態の予防・改善、リハビリテーション等の専門職による住民主体の通いの場でのフレイル予防活動などにより、健康寿命の延伸と医療費の抑制を目指します。

また、障がいの有無に関わらず、誰もが自己選択・自己決定により自分らしい生活や社会参加を実現していけることが大切です。そこで、障がいのある人本人や家族の高齢化、更には親亡き後を見据え、緊急時に対応を図るべく、地域生活支援拠点等の整備を行ってまいりました。令和4年度もこころのバリアフリーの啓発を行いながら、障がいのある人本人を中心に、その家族、関係機関・団体等と連携した支援ネットワークを構築し、ライフステージに応じた継続的な支援体制を充実してまいります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、対面による健康相談や保健指導の実施が難しい状況でしたが、令和4年度からICTを活用した健康相談等、自宅などから気軽に参加できる体制を整え、更なる健康相談機能の充実を目指します。

少子高齢化、核家族化、運転免許返納の伸展を背景に、高台の住宅地の高齢者等の移動便益が低下しています。日中に移動手段を持たない人の買い物や通院等の移動手段として、令和3年10月から既存の公共交通を補完する新たな公共交通の導入についての実証実験をアーデンヒルにおいて行っています。令和4年度は実証実験の結果を踏まえ、自治会主体の持続可能な運行の導入を支援してまいります。

次世代医療基盤法に基づく医療・介護の医療情報の提供につきましては、令和2年度から個人情報保護に係る様々な課題を整理してまいりました。令和4年度においては、国民健康保険被保険者及び介護保険被保険者に対し、医療情報提供に係る意思確認を行った上で、認定事業者に医療情報を提供することにより、本市の医療や介護の傾向把握や高齢者等の健康づくり、介護予防などに役立てていきます。

大規模な自然災害への備えと危機管理

第4の方針は、「大規模な自然災害への備えと危機管理」です。

大規模自然災害等に備え、事前防災・減災と迅速な復旧復興に資するまちづくり政策や産業政策も含めた総合的な取り組みの計画的な実施を図るため、国土強靭化地域計画を策定します。

また、風水害等や地震津波への備えとして、災害救助活動や被災状況等の情報収集を行う地区防災拠点を従来の3か所から小学校区ごとの5か所に設置する変更を行いました。さらに、津波浸水想定区域における津波避難ビルの更なる確保、備蓄品の計画的な整備及び避難所におけるマンホールトイレの設置に取り組んでまいります。

消防力の充実強化としては、消防署の災害対応特殊水槽付消防ポンプ自動車を更新し、複雑多様化する災害への対応を図ってまいります。

本市は自然豊かなまちである一方、崖崩れなどの自然災害が起こりうる可能性と隣り合わせにあることから、主要な市道に隣接する崖については令和2年度より一斉に点検調査し、要対策箇所となった道路用地及び市の緑地については早急に対策しました。令和4年度以降も定期的に点検し、その結果対応が必要な箇所については、市民の生命、安全を最優先に考え、対策に取り組んでまいります。

民有地については安全対策を促すため、防災工事助成事業の補助金を令和2年度から拡充してまいりましたが、より柔軟に活用できるよう制度の見直しを図ってまいります。

また、令和3年3月に相互協定を結んだ一般社団法人地盤品質判定士会には、崖地対策等のアドバイスをいただいているほか、民間企業と連携して斜面崩壊の予兆等を把握するための実証実験を実施しております。今のところ斜面崩壊の予兆につながるようなデータはありませんが、実証実験の結果、有用性が確認できれば公有地の管理ツールとしての活用だけではなく、民有地の土地所有者への紹介や機器購入費等の助成制度等の支援策を検討していきたいと考えています。

4メートル未満の狭あい道路の拡幅整備については、令和4年度には新たな補助制度を創設し、事業者も補助対象とすることでスピード感をもって拡幅整備を進めていきます。また、現行の要綱を改正し、土地の所有権に関わらず拡幅整備できる場合については、地権者の同意をもって早期の拡幅整備に努め、防災活動や生活環境の向上につなげてまいります。

また、橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、現在、清水橋修繕工事が進捗中です。令和4年度には道路改良工事として、市道新宿45号において新たな工法を取り入れることにより歩道を新設してまいります。

魅力あふれるまちづくり

第5の方針は、「魅力あふれるまちづくり」です。

本市のまちづくりを総合的・計画的に進めるための総合計画基本構想は、必要に応じて8年ごとに見直すこととしており、令和4年度が8年目にあたります。また、前期実施計画が令和4年度で終了いたします。このことから、基本構想の改定と中期実施計画の策定を行います。令和3年度に策定する方針をもとに案を作成し、令和4年度末に基本構想の改定案及び中期実施計画案をお示しいたします。

併せて、今後の本市における長期的なまちづくりの方針を明らかにするため、都市計画法に基づく都市計画マスタープランの策定に着手します。同時に、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを推進するため、都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画の策定に着手します。両計画とも令和4年度及び5年度の2か年で策定してまいります。

社会情勢の変化や人々の価値観の多様化が進む中、全ての人が性別に関わらず、お互いに尊重し合い、一人ひとりの個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現の重要性は増しています。家庭や地域、職場等あらゆる分野における活動において、誰もが多様性を認め合い、対等な立場で参画できる地域社会の実現に向けて、(仮称)逗子市男女共同参画推進条例の制定を目指します。

地域自治の取り組みは、沼間、小坪、池子、久木の各小学校区において住民自治協議会が設立され、防災、防犯、子育てや地域の活性化など、地域の課題解決に向けての活動が広がっています。これまで、住民自治協議会設立の根拠は市の要綱に置いていましたが、令和4年度から(仮称)地域自治に関する条例の制定に向けた検討に入ることといたします。また、未設立の逗子小学校区につきましては、引き続き設立に向けた働きかけを進めてまいります。

現在、JR逗子駅を中心とした逗子市内の交通渋滞を解消するため、逗子市内交通渋滞対策予備調査を実施しております。また、JR逗子駅周辺で計画されている民間ビルの新築及び建て替えを踏まえて駅前周辺の歩行空間を確保していく方策を検討するため、JR逗子駅前歩行空間等向上のための基礎調査を実施しております。本調査においては、本市が目指すべきまちづくりに向け、公民それぞれの事業及びまちの価値を相乗的に高めるための公民連携プロジェクトとして、民間事業者及び行政による定期的な協議の場を設置し検討を進めています。令和4年度には周辺環境整備の検討等と公民連携プロジェクトに関する協議の結果を踏まえ、なぎさ通りを含む駅前広場の将来像の基本設計を実施してまいります。

JR東逗子駅前用地の活用については、隣接地の地権者と互いに使いやすい土地の形状に交換することの協議を行ってきましたが、合意に至りませんでした。今後は、改めて公有地(土地開発公社所有地)での実施を前提とした事業を展望し、将来的に東逗子の中心的施設として有効な整備となるよう検討を進めてまいります。

コロナ禍の働き方や住まいに対するニーズの変化により、市内の住宅需要が高まっていますが、物件がない状況が続いています。一方で、平成30年の住宅土地統計調査によると、市内には別荘、賃貸、売却用を除く空き家が1,690件あるとされています。空き家バンクに加え、令和4年度には専門家によるアドバイザー派遣制度を創設するとともに、権利関係の整理、家財の整理、家屋の解体など様々な課題解決に使える補助金を交付するモデル事業の実施など、利活用の促進に注力してまいります。

また、本市の大きな魅力である海については、令和3年度は安心・安全な逗子海岸を保つために海水浴場を開設し、目まぐるしく状況が変化する中でも、海岸関係者、警察、行政等が協力して対応しました。他の海岸には類を見ない逗子ならではの協力体制を、より強固なものにできたことは大きな財産であります。令和4年度はこの経験を生かして、多くの関係者と丁寧に議論・検討を重ね、新型コロナウイルス感染症の状況を考慮しつつも、安心・安全を維持した上で、海水浴場を開設していきたいと考えています。

逗子海岸営業協同組合と協働で取り組むブルーフラッグの認証取得については、順調に進めば5月に実現できる見込みです。これを、多くの市民、関係者と協力し、逗子海岸を持続可能な地域資源として発展させていくための旗印にしていきたいと考えています。

小坪海浜地域では、市内外からの来訪者を受け入れる体制を整えるため、国有海浜地を時間貸駐車場として活用する準備を進め、4月からの利用開始を目指しています。さらに、主要な海面利用事業者との意見交換の場を設け、令和4年度は新たに小坪漁港活用・活性化促進事業を立ち上げて推進してまいります。

池子の森自然公園については、土曜・日曜・祝日の開園に加え、令和3年9月から毎週水曜日に試行開園を実施してまいりましたが、令和4年度についても巡回員を配置し、水曜日の開園を継続してまいります。なお、試行開園の状況を受け、生物多様性に一層配慮した開園のため、改めて利用ルールを明示するなど、市民の皆様にもご協力いただき、今ある自然を将来へ引き継いでいきたいと考えています。

小坪飯島公園は、Park-PFI制度により民間活力を活用した整備・管理手法の導入を目指していましたが、より一層の意見聴取が必要と考え、小坪飯島公園整備・管理方針の策定スケジュールを延期いたしました。今後については、スケジュールありきではなく、ご意見の多かった広場のあり方などについて、地域の関係団体の皆様と協議をしていきたいと考えています。

ごみ処理広域化につきましては、令和6年度後半からの葉山町での生ごみ資源化共同処理に向けて、「葉山町と逗子市との生ごみ資源化処理施設の整備運営に関する事務の事務委託に係る協議について」の議案を、令和5年第1回定例会に提出するため、生ごみの分別収集、資源化処理に関する制度設計(案)についての市民参加手続きを行ってまいります。分別の変更は市民生活に大きな影響を与えるため、この市民参加手続きを通して、制度の趣旨、目的、メリットなどを丁寧に説明し、ご理解いただけるよう努めてまいります。

下水道終末処理場である浄水管理センターは、供用を開始して50年が経過し、老朽化に加えて地震・津波対策が課題となっているため、再整備に向けた基本構想の検討を令和2年度から行ってきておりますが、令和4年度はそれを基に庁内調整を進めてまいります。併せて、葉山町との汚水処理の広域化・共同化について、ハード面の可能性検討調査を共同で実施し、可能性を探ってまいります。

重要課題

最後に、特に慎重に検討をしていくべき重要課題の一つであります総合的病院の誘致については、当面は医師会、市民、行政において総合的病院誘致や在宅医療を含む地域医療について話し合う場を設けることとしており、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、話し合いを進めてまいります。

もう一つの重要課題である池子米軍家族住宅問題につきましては、できるだけ早期に約40ヘクタールの共同使用地及び医療保健センター進入路の返還が実現するよう求めてまいります。

また、池子米軍家族住宅地区内に計画されている生活支援施設等の整備につきましては、引き続き情報の提供を求めてまいります。

以上、令和4年度の施政方針について、所信の一端を述べさせていただきました。

何より、市民の皆様が安心して暮らせること、幸福度が一番大事であります。「ワクチンの接種予約が簡単にできた」、「窓口でいい対応をしてもらった」、「困り事に丁寧に対応してもらえた」、そういったことの一つひとつが「このまちに住んでよかった」という喜びにつながるのではないかと考えます。「いいね!」という声がいっぱい上がるまちを目指したい。そのためには、市民の皆様とのコミュニケーションが大切だと考えます。任期最終年となる令和4年度も、変わらず現場第一主義を貫き、課題解決に正面から取り組んでまいります。

予算提案説明

続いて、令和4年度予算案についてご説明いたします。

まず、一般会計の概要について、歳入からご説明いたします。
市税につきましては、まず全体では、前年度と同程度となる90億2,487万4,000円を計上しました。
市民税は、前年度と比較して4,500万円減の48億1,500万円を計上しました。
固定資産税は、前年度と比較して2,554万3,000円増の33億1,987万4,000円を計上しました。
地方消費税交付金は、消費税率の引き上げ後の令和3年度実績と経済状況を考慮し、前年度と比較して1億6,000万円増の11億5,000万円を計上しました。
地方特例交付金は、地方税減収補てんのうち固定資産課税の特例措置の終了などにより、前年度と比較して1,000万円減の4,000万円を計上しました。
地方交付税は、令和3年度の交付実績及び国の地方財政対策などにより、前年度と比較して3億1,300万円増の16億8,300万円を計上しました。
分担金及び負担金は、保育所入所保護者負担金、ごみ処理負担金などの減少により、前年度と比較して3,647万1,000円減の3億6,859万5,000円を計上しました。
国庫支出金は、保育所等整備交付金、社会資本整備総合交付金、自立支援給付等負担金、保育士等処遇改善臨時特例交付金などの財源により、前年度と比較して7,327万3,000円増の33億2,047万3,000円を計上しました。
県支出金は、市町村地域防災力強化事業費補助金、自立支援給付等負担金、市町村自治基盤強化総合補助金などにより、前年度と比較して1,335万6,000円減の14億3,748万6,000円を計上しました。
寄附金は、ふるさと納税について、前年度と比較して2,000万円増の1億9,500万円を見込み、総額では、前年度と比較して1,970万円増の2億45万1,000円を計上しました。
繰入金は、年度間の財源調整のための財政調整基金繰入金6億7,000万円など、前年度と比較して1億3,320万4,000円増の8億5,320万2,000円を計上しました。
市債は、臨時財政対策債8億5,000万円など、前年度と比較して9,820万円増となる16億9,620万円を計上しました。

次に、歳出における性質別経費の内訳についてご説明いたします。
人件費は、前年度からの退職手当の増加などにより、前年度と比較して1億9,498万1,000円増の49億5,840万3,000円を計上しました。
扶助費は、障がい者、高齢者への給付などの社会福祉費の増加などにより、前年度と比較して3,784万9,000円増の51億2,949万4,000円を計上しました。
物件費は、中学校給食運営事業、久木小学校長寿命化基本設計業務委託の増加などにより、前年度と比較して1億3,488万3,000円増の38億2,180万5,000円を計上しました。
投資的経費は、保育所等緊急整備事業、新宿45号道路改良工事の増加などにより、前年度と比較して2億7,424万3,000円増の13億2,323万5,000円を計上しました。

以上の結果、一般会計予算総額は、前年度と比較して7億5,800万円、率にして3.7パーセント増の211億5,500万円となっています。

次に、特別会計では、国民健康保険事業が前年度と比較して10.7パーセント増の65億7,670万円、後期高齢者医療事業が前年度と比較して1.8パーセント増の13億5,860万円、介護保険事業が前年度と比較して4.0パーセント増の65億2,270万円となり、公営企業会計では、下水道事業が前年度と比較して30.4パーセント増の38億1,103万7,000円となります。

以上の結果、一般会計と特別会計及び公営企業会計を合わせた予算総額は394億2,403万7,000円となり、前年度と比較して25億5,503万9,000円、率にして6.9パーセントの増となりました。

令和4年度の市政運営に当たっては、総合計画基本構想に掲げた将来像「自然に生かされ、自然を生かすまち」、「コミュニティに支えられ、コミュニティを支えるまち」に向けて、「わたしたちはこんなまちにしていく」を実現するための5本の柱を推進するとともに、市民の悲願である池子の森全面返還を目指し、まずは池子米軍家族住宅地区内約40ヘクタールの土地及び逗葉地域医療センター・逗子市保健センター進入路の返還に向けて、引き続き取り組んでまいります。

1 共に生き、心豊かに暮らせるふれあいのまち

まず、「1 共に生き、心豊かに暮らせるふれあいのまち」についてご説明申し上げます。

社会福祉費のうち、地域共生社会推進事業は、福祉の総合相談機能を有する包括的な相談支援体制を構築するための経費1,903万2,000円を計上するほか、地域福祉推進事業は、生活困窮者に対する支援のための経費を含む39万8,000円を計上しました。

運動・スポーツ習慣化促進事業は、新しい生活様式により高齢者の健康づくりに資する活動を通して運動やスポーツの習慣化を図るため930万6,000円を計上しました。

児童福祉費のうち、放課後児童クラブ整備事業は、沼間小学校区放課後児童クラブの建物の老朽化に伴い、移転のための基本・実施設計業務委託を行う経費として1,791万1,000円を計上しました。

多様な集団活動事業の利用支援事業は、幼稚園類似施設の利用者に対する国・県の補助を活用した助成を行う経費として72万円を計上しました。

保健衛生費のうち、保健衛生事務費は、市民の健康増進・介護予防等に活用するため、国保・介護被保険者医療情報を次世代医療基盤法に基づき認定事業者へ提供する経費を含む440万円を計上しました。

介護保険事業特別会計のうち、一般管理事務費は、保健衛生事務費と同様の経費を含む1,594万6,000円を計上しました。

2 共に学び、共に育つ「共育(きょういく)」のまち

次に、「2 共に学び、共に育つ「共育(きょういく)」のまち」についてご説明申し上げます。

小学校費のうち、水泳学習運営事業は、小学校の水泳学習を市民交流センター地下温水プールにおいて実施する経費として1,348万8,000円を計上しました。

中学校費のうち、中学校給食運営事業は、温かい給食を提供するため現在のボックスランチ方式から9月以降食缶方式に移行する経費を含め1億2,234万6,000円を計上しました。

3 自然と人間を共に大切にするまち

続いて、「3 自然と人間を共に大切にするまち」についてご説明申し上げます。

環境保全費のうち、カーボンニュートラル推進事業は、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、市民、市民団体及び事業者と連携した取り組みを率先して実行するため、カーボンニュートラル推進支援補助金700万円、電気自動車用放充電設備等を設置する経費335万5,000円を含む2,392万5,000円を計上しました。

街区公園維持管理事業は、披露山児童公園、中里児童公園の遊具改修工事など2,868万3,000円を計上しました。

4 安全で安心な、快適な暮らしを支えるまち

続いて、「4 安全で安心な、快適な暮らしを支えるまち」についてご説明申し上げます。

総務管理費のうち、逗子市民まつり助成事業は、池子の森自然公園内400メートルトラックを会場とし、十分な新型コロナウイルス感染症拡大防止対策をして開催するための補助として200万円を計上しました。

水産業費のうち、小坪漁港活用・活性化促進事業は、小坪漁港を活用したイベント、活性化の方策の検討を行うワークショップ等の実施費用に対する補助金などとして335万円を計上しました。

環境保全費のうち、海水浴場運営事業は、安全で快適な海水浴場を運営するための警備費用のほか、ブルーフラッグ国際環境認証の取得記念シンポジウムの開催経費などとして2,722万8,000円を計上しました。

土木管理費のうち、防災工事助成事業は、がけ地の崩落などの災害を防止するために行う防災工事の費用の一部を助成する経費について、前年度から500万円増額した1,400万円を計上しました。

道路橋りょう費のうち、狭あい道路整備事業は、後退用地の舗装整備を着実に進めるため、測量費用や舗装工事費用に対する補助金のほか、地権者の同意により舗装整備を行う経費などとして1,310万円を計上しました。

道路改良事業は、披露山公園に向かう新宿45号の道路改良工事のほか、JR逗子駅前の歩行空間等の向上のための道路改良検討業務委託に係る経費などとして1億379万4,000円を計上しました。

都市計画費のうち、都市計画策定事業は、逗子市における長期的なまちづくりの方針を明らかにし、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを推進するため、都市計画マスタープラン及び立地適正化計画を策定する経費など1,603万1,000円を計上しました。

計画的なまちづくり推進事業は、空き家対策として、問題解決のための専門家派遣、相談会の実施のほか、権利関係の整理や空き家の解体等に対する補助金制度をモデル事業として行う経費350万円を含む496万5,000円を計上しました。

下水道事業会計のうち、管路建設費は、逗子第5分区雨水渠整備工事及び逗子中学校へのマンホールトイレシステム整備に係る工事費などとして1億8,337万3,000円を、ポンプ場建設改良費は、ポンプ場長寿命化対策として9,690万7,000円を、処理場建設改良費は、処理場長寿命化対策及び汚水処理の広域化・共同化の可能性検討調査負担金などとして13億8,885万3,000円をそれぞれ計上しました。

5 新しい地域の姿を示す市民主権のまち

続いて、「5 新しい地域の姿を示す市民主権のまち」についてご説明申し上げます。

総務管理費のうち、デジタル推進事業は、行政のデジタル化に向けた環境整備を進めるための経費として559万2,000円を計上しました。

徴税費のうち、市税徴収経費は、令和5年度から地方税共通納税システムの税目を拡大することに対応する経費899万1,000円を含む1,756万6,000円を計上しました。

戸籍住民基本台帳費のうち、戸籍住民基本台帳事務費は、令和3年度予算で準備を進めている住民票、印鑑登録証明書のオンライン交付申請に係る運用経費を含む557万8,000円を計上しました。

池子の森全面返還をめざして

「池子の森全面返還をめざして」については、逗子市池子接収地返還促進市民協議会助成事業11万6,000円を計上しました。

効果的・効率的な自治体経営の推進

最後に、「効果的・効率的な自治体経営の推進」について、企業誘致等推進事業は、企業誘致を推進する取り組みの一環として、保育的機能を有する事業所補助金、ワーケーション推進補助金、企業版ふるさと納税制度を活用する経費などとして3,257万円を計上しました。

以上、重点施策について説明させていただきました。

一般会計予算

引き続き、一般会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ211億5,500万円とするものです。
第2条は、債務負担行為について、債務を負担する行為をすることができる事項、期間及び限度額を定めたものです。
第3条は、地方債について、起債の目的、限度額、起債の方法などを定めたもので、限度額は16億9,620万円としています。
第4条は、一時借入金について、借入れの最高額を14億円と定めたものです。
第5条は、歳出予算のうち、人件費に限り同一款内における各項間の予算流用を行うことができるように定めたものです。

次に、国民健康保険事業特別会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ65億7,670万円とするものです。
第2条は、一時借入金について、借入れの最高額を1,000万円と定めたものです。

次に、後期高齢者医療事業特別会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ13億5,860万円とするものです。

次に、介護保険事業特別会計予算についてご説明いたします。
第1条は、歳入歳出予算の総額を定めたもので、歳入歳出それぞれ65億2,270万円とするものです。

次に、下水道事業会計予算についてご説明いたします。
第1条は、予算の総則を定めたものです。
第2条は、業務の予定量について定めたもので、処理区域内人口を5万9,369人とし、主要な建設改良事業は、管路建設費、ポンプ場建設改良費及び処理場建設改良費とするものです。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額について定めたもので、収入予定額は第1款の下水道事業収益として18億6,276万4,000円、支出予定額は第1款の下水道事業費用として17億8,899万4,000円とするものです。
第4条は、資本的収入及び支出の予定額について定めたもので、収入予定額は第1款の資本的収入として16億7,165万8,000円、支出予定額は第1款の資本的支出として20億2,204万3,000円とするものです。
第5条は、継続費の経費の総額及び年割額を定めたものです。
第6条は、債務を負担する行為をすることができる事項、期間及び限度額を定めたものです。
第7条は、企業債の目的、限度額、起債の方法などを定めたもので、その限度額は10億8,230万円とするものです。
第8条は、一時借入金の限度額を4億円と定めたものです。
第9条は、予定支出の各項の経費の金額の流用について、営業費用及び営業外費用の間の流用を行うことができるよう定めたものです。
第10条は、議会の議決を経なければ流用することのできない経費を定めたものです。
第11条は、他会計からの補助金について定めたものです。

以上が、令和4年度の逗子市の予算の概要でございます。
議員の皆様におかれては、何卒、ご賛同賜りますようお願い申し上げまして、施政方針及び予算提案説明を終わらせていただきます。
長時間にわたりご清聴いただき、ありがとうございました。

過去の施政方針及び予算提案説明

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