逗子アートフェスティバル(ZAF)の歩み
逗子アートフェスティバルが誕生するまで
逗子アートフェスティバル(ZAF)の始まりは、2011年(平成23年)になります。
2011年(平成23年)3月に策定された逗子市文化振興基本計画の中で、重要課題「(基本計画の成果としての)地域文化の創造を象徴する事業の展開」を具体化するものとして、2013年度(平成25年度)にプレ・アートフェスティバル、2014年度(平成26年度)に第1回逗子アートフェスティバルを開催することが明記されました。
市内では、市民による様々な芸術文化活動が活発に行われていました。
1951年(昭和30年)から現在も続く「逗子市文化祭」は、市民の日々の活動の成果を発表する場として、定着していました。
また、「逗子海岸映画祭」(2010年~)、「逗子メディアアートフェスティバル」(2010年~14年。2014年は「メディアーツ逗子」)、「浜の芸術祭」(2012年~13年)の3つのフェスティバルが開催されました。逗子に暮らす若い世代が企画し、逗子海岸や街中でイベントを展開し、逗子の暮らしをもっと素敵に楽しもう、という雰囲気にあふれていました。
隣の葉山町で1991年(平成3年)から開催されていた「葉山芸術祭」の存在も、大きいものがありました。
一文化団体が限られた地域で始めた祭は、春の湘南を代表する一大イベントへと発展していました。町民のオープンハウスを中心に街中で展開し、コンセプトに賛同する方なら誰もが参加応募できるという開かれたイベントでした。行政の補助に頼らず、自立していることも特徴の一つでした。
そのような中、逗子アートフェスティバルは、市民が主体となって行われている既存の様々な芸術文化活動をつなぎ、それぞれの良さを活かしながら連携させ、そこへ新たな地域文化の担い手を呼び込むという、独自のスタイルを目指すことになりました。また、市民と市(行政)の協働により実施するものとされました。
2013年(平成25年)に行われた会議の様子
2011年(平成23年)5月には「芸術祭をつくろう!会議」が開催され、市内の文化事業や文化団体関係者、葉山芸術祭をはじめ他市町の芸術祭関係者等42名が集まり、芸術祭に関する様々な意見交換がありました。
2013年(平成25年)3月には逗子アートフェスティバル実行委員会設立準備会が開催され、芸術文化活動団体や商工・観光関係団体が集まり、逗子アートフェスティバル開催に向けて動き出しました。
文化祭をはじめよう! ZAF2013・2014
ZAF2013 会期:9月27日(金曜日)~12月8日(日曜日)
「プレ・アートフェスティバル」として開催されたZAF2013は、「逗子メディアアートフェスティバル2013(ZMAF2013)」「海のアートロード(第2回浜の芸術祭)」「逗子フィルムフェスティバル」「逗子市文化祭」「市民企画」の5つの事業が行われました。
市民企画を除く4事業は既存のイベントで、逗子アートフェスティバルという一つの傘の下にまとめることで、地域の文化の担い手間の新たなつながりや気づき、広報活動の一元化による市内外への周知・浸透を図るねらいがありました。
一方、既存イベントの寄せ集め的なこと、個々のイベントと「逗子アートフェスティバル」の関係性が見えづらい、アートの視点から全体を監督する責任者がいない等、その後につながる課題を多く見つけることができました。
ZAF2014 会期:9月20日(土曜日)~11月24日(月祝)
最初のトリエンナーレとして開催されたZAF2014は、「逗子アートサイト2014」「メディアーツ逗子2014」「逗子市文化祭」「市民企画」の4つの事業が行われました。
「逗子アートサイト2014」では、中之条ビエンナーレの総合ディレクターを務め、逗子在住経験もあった山重徹夫氏を総合ディレクターに起用し、現代アートのアーティストが、逗子にインスピレーションを受けて作品を制作し、逗子の街中に点在するという空間を作り出しました。メディアアートフェスティバルから名称を変えた「メディアーツ逗子」では、5回目となるプロジェクションマッピングショーのほか、街中にも様々な映像作品が展開しました。
逗子アートサイト作品
市の文化活動の総合祭典を目指して ZAF2015・2016
ZAF2015 会期:10月1日(木曜日)~11月30日(月曜日)
ZAF2015は、「逗子市文化祭」と「市民企画」を中心に、提携企画、ホール連携企画等、市内のアーティストや文化活動から構成された、まさに「逗子ぢから」を示すイベントとなりました。「市民企画」には32企画が参加し、それまで独自にイベントを行っていた団体や、ZAFをきっかけに新たに活動を個人で始める方もいました。「逗子市文化祭」では、芸能部門、展示部門合わせて21企画が行われました。ZAF2014の「メディアーツ逗子」は「NIGHTWAVE」として逗子海岸に展開し、その後も継続しています。
ZAFは、市民の日々の芸術文化活動に発表の機会を提供し、地域の活動を一堂に介する”芸術文化の総合祭典”を目指しました。
ZAF2016 会期:(前期)10月8日(土曜日)~11月6日(日曜日)、11月19日(土曜日)~11月27日(日曜日)
ZAF2016は、前年の内容をほぼ踏襲する形で構成されました。「市民企画」は30企画、「逗子市文化祭」は19企画が参加しました。「プチアートツアー」や「レンタサイクル」等の新たな試みも行われました。
地域文化の活性化と移住促進を目指して ZAF2017・2018・2019
ZAF2017 会期:10月7日(土曜日)~11月26日(日曜日)
2回目のトリエンナーレとなったZAF2017は、テーマを共育(ともいく)とし、逗子に縁のあるアーティスト栗林隆さんをはじめとする、日本・世界を視野に活躍する作家が、逗子にインスピレーションを受けて制作する招待作品や、逗子を拠点に活動する地元(ローカル)作家たちによる「アートでつなぐ」(逗子会館等)等の展示が行われました。また、2015年(平成27年)2月に米海軍との共同使用が始まった池子の森自然公園では「池子の森の音楽祭」が初開催されました。
このほかにも、市民企画(33企画)、逗子市文化祭(20企画)、提携企画・ホール連携企画(8企画)が参加し、全81企画という規模となりました。
ZAF2018 会期:10月12日(金曜日)~10月28日(日曜日)
2017年(平成29年)11月、市は財政状況の急速な悪化を発表しました。そして、緊急財政対策として、2018年(平成30年度)予算においてイベント等に対する財政的支援は原則ゼロとなりました。市の負担金に頼っていたZAFは、継続するか中止するかの岐路に立たされました。
そこで、「ZAFを継続しよう」という熱い思いを持った市民が、ZAF2018開催に向けて動き出し、逗子アートネットワーク(ZAN)が設立されました。それまで運営を担ってきた逗子アートフェスティバル実行委員会は解散・再構成され、ZANにZAFの企画運営を託しました。
ZANには、それまでZAFに参加したことのなかった若いファミリー層を中心とした市民や、逗子に移住してきた市民、逗子以外からの参加者も加わって、130人超のコミュニティとなりました。フラットな関係の組織を目指し、メンバー全員による意思決定を大切にしました。
逗子に暮らす、逗子に縁のあるアーティストを中心に作品展示やワークショップが行われ、全37企画が参加しました。「作品制作に市民が参加する」「多世代が一緒に参加する」「商店街等を巻き込み協力を得る」といった企画が増え、完成された作品を鑑賞するだけでなく、アーティストと交流しながら自らが作品の創り手になったり、作品が暮らしの中にあるような感覚を得るという体験を、多くの方にしていただきました。
また、資金調達のための「クラウドファンディング」では、目標額200万円に対し約207万円(267件)が集まり、自主開催に対する支援の輪を大きく広げることができました。
ZAF2019 会期:10月18日(金曜日)~10月27日(日曜日)
ZAF2019も、ZAF2018と同様に市の財政的支援が無い中で行われ、逗子アートネットワークが引き続き事業の実施に携わりました。新たなメンバーが多数加わり、バリエーション豊かな人材が集まりました。ZAF2018を観て参加したいと来る方が多く、アーティストとして活動するプロフェッショナルや、自身のアート企画を持っている方、まちづくりを学ぶ大学生等が加わり、ZAF2019の企画や広報活動等でも活躍しました。
メイン会場をJR逗子駅前スーパースズキヤ2階ニュー松屋跡地とし、3つのインスタレーションのほか、オープニング等のイベント会場、コンシェルジュによる案内活動、来場者のおもてなし空間として使いました。全28企画が参加しました。
ZAF2018から始まった「作品制作に市民参加する」スタイルは更に広がりを見せ、逗子在住のアーティスト松澤有子さんによる大型インスタレーション「ぼくたちのうたがきこえますか2019」では、延べ1,000名を越える市民が制作に参加しました。
(左 撮影 竹本英樹)
新たなイベントのかたち ZAF2020・ZAF2021
ZAF2020 会期:10月9日(金曜日)~10月25日(日曜日)
ZAF2020は、3年に一度規模を拡大して行う「トリエンナーレ」として開催しました。
トリエンナーレにあたり、市も財政支援を行い、これまで発掘・育成・蓄積してきた人的資源や知識、経験を活かし、市内だけではなく市外に向けても、逗子で過ごす・暮らす魅力を発信し、より多くの人にイベントや逗子に訪れてもらうことを目指しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、イベントやワークショップ等を通じた人や地域のつながりを保つことが困難な状況となりました。
それでも生活は続いていく中で、ただ「やめる」のではなく、「つながりをあきらめない」というZANのメンバーの想いにより、安心して参加してもらえるイベントとして、可能な範囲で開催することを決めました。
こうして、ZAF2020は、逗子を拠点に活動するアーティストや、逗子に縁のあるアーティストによる作品展示やパフォーマンス等、主に逗子のまちから生まれるアートを中心に展開しました。また、ミーティングやイベントにオンライン(ZoomやYouTube配信等)を取り入れることで、市内の人だけでなく、市外の人等、来場することが難しい人でも参加できるイベントを目指した結果、延べ約12,000人(配信視聴者含む)が参加したイベントとなりました。
ZAF2021 会期:10月15日(金曜日)~11月14日(日曜日)、12月3日(金曜日)~5日(日曜日)
ZAF2021も、新型コロナウイルス感染症の影響によりイベントやワークショップ等を思いどおりに行うことが難しい状況が続きました。ZAF2020から、つながりをあきらめず、可能な範囲で活動を継続してきたZANのメンバーでしたが、中止の判断をした企画もありました。
そんななか、新たな活動を始めたのがZANの広報チームでした。従来行ってきた広報活動にとどまらず、逗子や逗子に住む人たちの魅力を市内外に広く発信することで、ZAFをきっかけに逗子のまちに訪れる人が増えることを目標としました。その一つが、ZAFに携わる人たちのインタビュー動画です。
既存のメンバーや、「逗子の魅力を発信する」という考えに賛同した人たちが集まり、広報チームには市民を中心に約20名のメンバーが集まりました。中には映像制作のプロもいました。そんな人たちの力で制作されたのがこれらの動画です。様々な人々の想いが詰まった動画は、ZAFだけでなく、逗子のまちの魅力発信のツールとして残り続けます。
このように、ZAF2021は、可能な範囲で「継続すること」を目指して開催しました。ZAF2020同様、逗子を拠点に活動するアーティストや、逗子に縁のあるアーティストを中心に展開しましたが、一方で市外から初めて参加したアーティストが、地域住民の方と関わる中で実現できた企画もありました。
結果として、コロナ禍でも約6,500人(動画視聴者含む)が参加し、今後に向けた様々な変化や、新たな可能性を感じるZAFとなりました。
写真掲載:逗子の街の音楽会/みんなでアート/池子やまアートDAY/CoCOONEST/知覚の境界/ぼくたちのうたがきこえますか2021ワークショップ/らせんの映像祭
ZAF2022・ZAF2023
ZAF2022 会期:10月8日(土曜日)~11月25日(金曜日)
ZAF2023 会期:10月7日(土曜日)~10月29日(日曜日)
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