図書館司書さんに聞く、親子で楽しい読み聞かせの時間(2021年8月4日)

ページ番号1003609  更新日 2023年2月28日

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写真:本を読む親子

親子で絵本読んでいますか?
そんな一言にドキッとくる、えがおレポーターのバナナムースです。

図鑑大好き!な小学生になる息子は、小さいころから絵本には興味がなかったようで…。「絵本読もうか?」と私が誘っても、「いい」と断られていました。
そのうちこちらも誘わなくなり、なんとなく絵本はフェードアウトで現在に至ります。

そんななか、小学校入学を機に読み聞かせボランティアに参加。当番のお母さんが、毎週クラスの子どもたちに絵本を読み聞かせるのですが、そこで出会ったのはあれだけ興味がなかった息子を始め、絵本にじっと聞き入る子どもたちの姿。

もしかしたら、私、何か間違えていたのかも…。
そんな絵本の読み聞かせにまつわる疑問を、逗子市立図書館司書の江﨑玲子さんにお答えいただきました。

イラスト:絵本の読み聞かせ

「幼稚園や学校など、大人数に対して行う読み聞かせのときはある程度『こうしたほうがいいよ』というガイドラインはありますが、親子で行う読み聞かせには何も制限はないですよ」と江﨑さん。

写真:江﨑玲子さん
逗子市立図書館司書 江﨑玲子さん

「絵本を読んであげる大人の方が楽しいと思える本、子どもが喜んでくれる本を選べば、もうそれでOKです。
そして、その絵本を介して気持ちが伝わりやすくなること、通じ合うことがきっとあると思います」と続けます。

イラスト:絵本を読む親子

お母さんはスマホ、子どもはテレビなどで心が離れている状態ではなく、読み聞かせを通して親子双方が同じものを見る、同じ時間を共有することが何より大切。とはいえ、四六時中というわけにいかないのも現実ですよね。
でも、そういう時間がほんの少しでも日々の中にあれば子どもの心に残るだろうし、それは読む側の親にも満ち足りた気持ちを与えてくれるでしょう。

自宅で、親子だからこそおすすめしたい読み聞かせ本

ここで、親として気になってしまうのが読み聞かせが子どもに与える効果など。例えば、読解力を伸ばす、将来他者とのコミュニケーションに役立つなど、ついつい読み聞かせによるメリットを期待してしまいます。

江﨑さんに尋ねると、「専門家が厳密に研究した効果などがあるのかもしれませんが、『読み聞かせをしたから、必ずここが伸びる』はないと思います」との回答。

ちょっと拍子抜けしていたところ、「ただ、絵本や紙芝居を使わない語りだけの『すばなし』は、聞き手の想像力を育むのにはいいのかなと思います」と、気になる一言。

写真:おはなしのろうそく
『おはなしのろうそく』1〜32※以下続刊(東京子ども図書館)

絵がなく、語り手が話す言葉だけで想像する「すばなし」。保育園や幼稚園でも短い話から導入されているそうで、図書館のおはなし会などでも使われています。
もちろん家庭での読み聞かせとしてもおすすめで、図書館でも上の写真の『おはなしのろうそく』など、子ども向けの語りのテキストも借りられるそうです。

「語りのテキストは、不要な言葉をすべてそぎ落とし、ストーリーの本筋だけ残しているテキスト。余計な言葉が入っていないので、耳で聞いたときに一番真価が発揮される本ですよ」
2~3分のごく短いお話もあるので、寝る前に部屋を少し暗くして、入眠儀式的に読んであげてもいいかもしれません。

また、大人数より家庭で、親子の読み聞かせでこそ楽しめる絵本もあるそう。
例えば、下の『バムとケロ』シリーズ。

写真:バムとケロのそらのたびの表紙
『バムとケロのそらのたび』島田ゆか/作・絵(文溪堂)

「ストーリーはしっかりありますが、ストーリー以外で脇役たちが随所でいろいろと細かくて面白い動きをしています。それ故に、『ちょっと待って、戻って!』とページを行ったり来たりすることもしばしば。だから、大人数での読み聞かせには向かないです。
このような絵本は、ストーリーを追うだけではなく絵の細かいところまで楽しみたい。ぜひ、膝の上で読んでもらいたい絵本です」

ゆっくり時間をかけられる、親子で読み聞かせならではの醍醐味ですね。

絵本選びに迷ったら、まずは図書館おすすめ年代別リストを!

図書館では、年代に応じた『子どもとたのしむ絵本のリスト』を用意。逗子市立図書館では「おはなしコーナー」の前にある、リスト絵本の棚に置いてあります。
また、以下のページからPDFでダウンロードも可能です。

その年代別リストの中から、「どれもおすすめですが…」と話す江崎さんに、それぞれ一冊ずつチョイスしてもらいました!

子どもとたのしむ絵本のリスト 0~2歳

こんな年代

優しい声かけとスキンシップは、大切な心の栄養。赤ちゃんと一緒に楽しみたいと思う絵本を選び、語りかけるように読んであげましょう。

江﨑チョイス

『スープに なりました』彦坂有紀・もりといずみ/作(講談社)

写真:スープになりましたの表紙

それぞれの野菜がページをめくるとスープに変身。木版画で描かれた絵が色鮮やかで美しく、手元に置いておきたくなります。ほかにも『パン どうぞ』などのシリーズがあります。

子どもとたのしむ絵本のリスト 2~3歳

こんな年代

興味の幅がぐんと広がり、「次はどうなるのかな」と先の展開を予測しながら話を聞くことも。素直にゆっくりと心を込めて読んであげましょう。

江﨑チョイス

『はだしになっちゃえ』小長谷清実/作、サイトウマサミツ/絵(福音館書店)

写真:はだしになっちゃえの表紙

表紙から、海がある逗子にぴったり!足の裏から感じ取る、砂浜での様々な感覚。砂が苦手だったけれど、この絵本がきっかけで海に入るのが好きになった子もいるそうです。

子どもとたのしむ絵本のリスト 3~4歳

こんな年代

想像力が豊かになり、話の主人公に自分の気持ちを重ね合わせて楽しむことも。読み手の大人も子どもと一緒に物語の世界を楽しんでみましょう。

江﨑チョイス

『せんろはつづく』竹下文子/作、鈴木まもる/絵(金の星社)

写真:せんろはつづくの表紙

山があったらトンネルを掘って、湖があれば橋をかけ、線路をつないで列車を走らせる。冒険しているようなワクワク感もあり、乗り物好きな子にはたまらない一冊です。

子どもとたのしむ絵本のリスト 4~6歳

こんな年代

興味を示すジャンルが広がり、文字に関心を持ち始めます。自分で本を読めるようになっても、大人に読んでもらうのは楽しい体験になります。

江﨑チョイス

『しっぽのはたらき』川田 健/作、薮内正幸/絵、今泉吉典/監修(福音館書店)

写真:しっぽのはたらきの表紙

動物のしっぽには、それぞれ大切な役割があります。写実的な絵とやさしい解説で分かりやすく、小学校中学年ごろまで楽しめる絵本です。

そのほか、小学校低学年・中学年・高学年向けのリストもあります。
リストがダウンロードできるページから、各年代をクリックするとリストにある本の検索結果一覧画面にリンクされています。そこで貸出できる在庫があるか、貸出中なら予約もできて便利ですよ。

ほかにも、「絵本選びに迷う」「ほかにおすすめ絵本がないか」など、聞きたいことがあればカウンターにいる職員に気軽に声をかけてくださいとのこと。
また、毎月開催されている「おはなし会」を利用してみるのも手。読み方や絵本選びなど、参考になることが満載ですよ。

江﨑さんのお話を聞いていて、私ももっと図書館を活用すれば良かったとちょっぴり後悔しています。

絵本を通じて、親も子どもも楽しい時間と体験を

親はつい、自分に興味がなくても「この子のために」と絵本を選ぶことも多いですが、「自分が読んで楽しかったから」「色が綺麗だから」でも、読み手である親の気持ちが込められる本を読んであげて欲しいと江﨑さんは言います。

「子どもは同じ方向を見ていても、ときに大人のほうを振り向いて『そうか、ここは笑う場面だ』と確認することがありますよね。大人が楽しい気持ちや声で読んでいるからこそ、子どもも楽しさを体感していくこともあります」

写真:子どもと本を読むお父さん

ちなみに、先に述べた江﨑さんがチョイスしてくれた年代別絵本の数々。私も読んでみたかったこともあり、早速図書館で借りてみました。
帰宅後、「今日は取材でこんな絵本をおすすめされたよ~」と何とはなく息子に見せたら、すかさず「読んで」と。読み始めたら飽きることなく全部の絵本を、そして『すばなし』にまで耳を傾けていました。
息子にゆっくり読み聞かせをするなんて、何年ぶりだろう…とびっくりしたのですが、何ともいい時間でした。

息子に気遣って「好きな本を」、それでも嫌がるから読まないほうがいいかなとやり過ごしていましたが、もっと私が絵本を楽しめば良かったのかなと思う出来事でした。

写真:絵本を見る子

残念ながら新型コロナウィルスもまだまだ落ち着かない状況。子どももそんな不安を、言葉にしなくても少なからず抱いていることでしょう。
こんなときだからこそ自宅でゆっくり、親子で絵本を楽しむ時間があるのはとてもいいですよね。心地良い時間のなか、お互いの気持ちの交換と体験を共有する喜びを絵本でたくさん味わってください。

最後に、逗子市立図書館にはTwitterがあることをご存知ですか?
お知らせやトピックスに加えて、「おはなし会」のわらべうたを動画配信しています。こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。

逗子市立図書館

住所:〒249-0006 逗子市逗子4-2-10
電話:046-871-5998
開館時間:平日 9時00分~19時00分/土曜・日曜日・祝休日 9時00分~17時00分
休館日:毎週火曜日(※祝休日の際は開館。翌平日が休館)/年末年始:12月29日~1月3日/館内整理日:1月4日/特別整理期間:毎年1回2週間程度

小坪分室

住所:〒249-0008 逗子市小坪5-21-17
電話:0467-24-6726
開館時間:9時00分~17時00分
休館日:毎週火曜日(※祝休日の際は開館。翌平日が休館)/年末年始:12月29日~1月3日/館内整理日:1月4日/特別整理期間:毎年1回2週間程度

沼間分室

住所:〒249-0004 逗子市沼間3-16-32
電話:046-872-3618
開館時間:9時00分~17時00分
休館日:毎週火曜日(※祝休日の際は開館。翌平日が休館)/年末年始:12月29日~1月3日/館内整理日:1月4日/特別整理期間:毎年1回2週間程度

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