広報ずし 2025年6月号 NO.1000 4面 私も地域医療に支えられています 地域医療が支えるのは、病気を抱える人だけではありません。介護する家族へのサポートや、健診・検診で健康状態の確認も行っています。 CASE1 自宅にいながら手厚いサポート 本人も介護者も支える医療体制 Sさん(久木)  重度の認知症のため寝たきりで過ごすSさん。施設入所を勧められましたが、自宅での生活を続けています。  日常の介護は、ホームヘルパーなどによる支援を受けながらSさんの妻が行っています。さらに主治医、看護師、歯科医師、理学療法士などがSさんの自宅を訪問し、医療を提供。Sさんの妻は、できることは自分でやりたいと、痰が絡んでしまったときの吸引の方法などを看護師から教わり実践しています。「私だけではケアが至らないこともあります。細かいところまで診てくださる専門の方々の訪問に助けられています」。 医療従事者より 看護師 武藤恵子さん  全身の状態を観察した後、清拭やお湯に手を浸けて洗う手浴などで、体の清潔を保っています。主治医から「本人の意思を尊重して」と指示を受けていて、触れられると体がこわばってしまうSさんには、声掛けしながらケアをしています。緊急時にいつでも対応できる体制も整えており、ご家族には「家のナースコールだと思って」と伝えています。 歯科医師 松岡友輔さん  お口の中を清潔にすることは、不快感を減らし、虫歯や歯周病、誤えん性肺炎の予防につながります。Sさんへの定期的な訪問診療では、歯こうの除去などの口腔ケアを行っています。可能な限り本人のお口から食事がとれるよう、Sさんに合った食べ物の形態や、介護者の負担にならないような介護食の提案などもしています。 CASE2 精密検査も市内で 身近な専門医に安心できた Wさん(久木)  健康診断で肺がんの疑いがあると診断されたWさん。精密検査を受けるため、市内にある医療機関の診療科目を調べ、呼吸器科を掲げるクリニックを受診しました。「結果や指示をただ伝えられるだけではなく、医者と話をして納得したい。地域の専門医なら丁寧に応じてくれるだろうと考えました」。  呼吸器科のクリニックから、より精密な検査を受けられる市内の別の診療所を紹介されてCT検査を受診。その結果がクリニックの医師に報告され、異常なしと診断されました。「精密検査というと大きな病院に行くイメージがありましたが、地域でしっかり診てもらえて安心しました」。