広報ずし 2023年4月号 NO.974 7面 広報ずし●2023.4 Interview 自分らしさを自覚して 毎日、生きやすくなった バイセクシュアルを公表している、たかけろさんに当事者としての話をうかがいました。 たかけろさん 性自認は男性。フラワーアーティストとして活動しながら、「たかけろおねえさん」の名前でタレント活動を全国で行い各地で地域広報をサポート。逗子アートフェスティバルの広報も担当する。 自分の性的指向に気が付いたのはいつですか?  小中学生の頃から言葉にできない違和感がありましたが、当時はそのもやもやが何か分かりませんでした。気付いたきっかけは、高校の文化祭で女装のウィッグをかぶった時です。気持ちにしっくりきて、クラスメイトも「それでいいんじゃない」と自然に受け止めてくれました。10年ほど前のことで、マツコ・デラックスさんが登場して、社会的な認識が広まってきていたことも影響していたと思います。両親にも、文化祭の写真などを見せて話している中でバイセクシュアルとカミングアウトし、自然と受け入れてくれました。 「周囲の無理解に苦しむ」ということは少なかった?  新卒で就職した会社では、退社間際までバイセクシュアルだと言えませんでした。同世代には話せましたが、上の世代には理解されにくい雰囲気があって。職場で女性と話をするときも、「男性としての会話や意見を求められること」が苦手でした。カミングアウトできるかどうかは、相手の世代によります。 LGBTQ+の方に、アドバイスはありますか?  自分に向き合って、自分は何者かを明確にすると生きやすいと思います。私もいろいろ調べて、自分の性的指向を自覚しました。「女性的な感性・感情が優先するけど、女性になりたいわけでも、女装したいわけでもない。性自認も男性だ。ただ、恋愛対象が、男女それぞれに向けられる。だから、バイセクシュアルなんだ」という感じです。  自覚しないと、人に自分を説明することができません。その結果、引きこもったり思い悩んだりしてしまう人もいるのではないでしょうか。もちろん無理に決めないという選択もありますが、もやもやするなら公表するかどうかはともかく、自分は何なのかを自覚した方が進む道を決めやすいと思っています。  また、生きるのがつらい人は、相談先を探すことも大切。ネット上のコミュニティなどに参加して、まずは孤独感を払拭してほしいです。一人で抱え込まないでください。 カミングアウトを受けたときは、どうしたらいい?  君は間違っているとか、変だというネガティブな反応はしないでください。怒らずに、理解できなくても受容してもらいたいです。 これからの社会に望むことは?  逗子市は、2020年にパートナーシップ宣誓制度を開始していますが、自治体がパートナーとして認めてくれることは、私たちにとって明るい希望です。こうした制度や取り組みは、LGBTQ+の人が、どこに住むかを決める指標にもなると思います。 わかり合うために Ally(アライ)になろう アライとはLGBTQ+について理解し、支援する人たちのことです。理解を深め、寄りそう気持ちが大切です。 アウティングをしない アウティングは、LGBTQ+であることを本人の許可なく他人に話すこと。誰に、どこまで話して良いか本人に確認し、それ以外に言いふらしてはいけません