広報ずし 2024年2月号 NO.984 4・5面 認知症と共に生きる日々 認知症と共に過ごす、2組の家族の日常を紹介します。 工藤嘉明さん・アサ子さん 地域とつながりながら、2人で過ごす穏やかな時間  認知症と診断されてから10年になるアサ子さんは、夫の嘉明さんと住み慣れた家で暮らしています。  「近所を歩いているときに自宅の場所が分からなくなったり、使い慣れた電車で目的地にたどり着けなくなったり、おかしいなと思って受診しました。認知症初期と診断され、早い段階で薬を服用できたので進行が緩やかなのかもしれません」と嘉明さんは話します。  アサ子さんは現在、会話でのやり取りはできますが、その内容は覚えられません。家電製品の操作方法などが一目で分かるように、家の中にはメモを貼るなどして工夫しています。また、家事全ては難しいにしても“洗濯物を干す”など、できることは積極的にお願いしているそうです。近所の人にも発症は伝えていて、友達が買い物や地域のサロンに連れて行ってくれることも。その暮らしぶりやアサ子さんの様子はとても穏やかです。  「不安や悩むことはない」と笑うアサ子さん。嘉明さんも、「最初は同じことを何度も言ったりすることに怒ったこともあったけれど、こういう症状だと理解したら、穏やかに接せられるようになりました」と言います。近所の人に温かく見守られ、夫婦2人の日々が続きます。 近所の人と毎朝ラジオ体操。そのまま散歩に出ることも ドライブが好き。嘉明さんや友達の運転で買い物に出かけるのも楽しみの一つ オレンジカフェで皆と一緒に合唱。「昔はジャズを歌っていたわ」と懐かしそうに話す 河井 博さん・志津子さん 皆の心を温める、夫婦で紡いだ紙芝居  東逗子オレンジカフェ「あつま〜る」で、紙芝居を披露する河井さん夫婦。夫の博さんは3年前に認知症と診断されました。それをきっかけに、高齢者向けの施設などで紙芝居ボランティアを行っていた志津子さんと、2人で紙芝居を始めます。元々、男性コーラスグループに所属していた博さんは、紙芝居の中で歌うことや観客から拍手をもらうことがうれしかったようで、練習に励んできました。「認知症になったらいきなり何もできなくなるわけではなく、できることもあるから大丈夫だよと、紙芝居をする夫の姿を通して皆さんに伝えたかった」と志津子さんは話します。  博さんの症状が進み声を出すことも難しくなってきたこともあり、夫婦での紙芝居は昨年11月をもって終了することに。最後は、志津子さんの紙芝居ボランティアの仲間も合いの手で参加し、会場は大いに盛り上がりました。夫婦の前向きな活動が、認知症に対するイメージを明るい方向に変える一歩になったようです。 博さんが所属していたグループがステージゲストに。「久しぶり!」とメンバーが歩み寄って握手する姿に、会場からは温かい拍手が 認知症介護者の居場所 逗子家族会 認知症の人を介護している、していた家族が集まり、自由におしゃべりできる場所です。月1回、「おれんじカフェずし」内で行っています。 家族のための物忘れ相談会 家族の様子で気になること、困っていることを相談。認知症介護を専門にする精神保健福祉士がアドバイスします。 詳しくは、15ページへ