広報ずし 2023年7月号 NO.977 4面  5面 Special 座談会 海を安全に楽しむポイント 海水浴にもマリンスポーツにも人気の逗子海岸。日頃から逗子海岸を熟知し、協力しながら海の安全を守っている3人に、安全に楽しむためのポイントを聞きました。(本文中敬称略) お話を伺った方たち 逗子市消防署 内山智弘(小坪分署長) 新たに水上オートバイを配備し、海上からの出動が可能になりました。 逗子マリン連盟 小林太樹さん 海のルールやマナーの呼び掛けを行っています。 逗子サーフライフセービングクラブ 大庭康太郎さん 海水浴期間中、いざというときに救助に向かいます。 危険や注意を知らせるサインに注目を 大庭 海水浴期間中、必ず確認してほしいのが「青・黄・赤」の信号旗です。赤旗のときの海は危険な状態なので絶対に泳がないでください。黄旗は泳げても波や風具合で注意が必要なとき。ライフセーバーが海や気象状況に応じて掲げていますが、一日の中で色が代わることもあるので、海水浴中は注目してほしいです。 内山 旗はどこに掲げられるんですか? 大庭 中央の海岸監視所と西浜(鎌倉側)、東浜(葉山側)の3か所です。当日の旗の色は逗子海水浴場Twitter(6ページ参照)でも確認できます。 小林 海岸監視所のホワイトボードに、その日の海のコンディションや風速、クラゲの発生状況などもお知らせしていますよね。 大庭 はい。海岸に着いたら、まずチェックしてください。もちろん、パトロール中のライフセーバーに気軽に聞いてもらってもOKです。 内山 そうした注意のサインや呼び掛けもあり、昨年は海水浴での消防への救助要請はありませんでした。 小林 旗以外にも、空の様子もサインになります。夏は突然の大雨や雷など天候急変も起こりがち。午後、陸側の空に黒い入道雲のような雲が立ち込めてきたら要注意です。雷を伴った大雨になるサインだと思って、気を付けてください。 大庭 雷は、遊泳禁止の赤旗になります。落雷の恐れがあるので、すぐに海から上がってください。 Question1 Answer 信号旗の色の意味を理解しよう 青旗→遊泳可 黄旗→遊泳注意 赤旗→遊泳禁止 海岸監視所では写真のブルーフラッグが青旗です Question2 Answer 風の向きや強さなどを事前に確認、万が一に備えて準備は万全に 帽子 ライフジャケット ラッシュガード 水筒 スマートフォン リーシュコード ビギナーは要注意。風や持ち物をチェックして 内山 海水浴での救助はゼロでしたが、マリンスポーツで沖に流されて戻ってこられない人からの救助要請は、一年を通して数件ありました。 小林 最近は手軽に始められるSUPが人気で、マリンスポーツショップのレッスンなどを受けずにいきなり始める人も多いです。陸からの風(北風)が強いと沖に出るときはスイスイ進めるんですが、逆に、浜に戻るときは向かい風になります。風速5mで、初心者や力が弱い人は戻れないと言われています。 内山 ライフジャケットの装着はもちろん、いざというときの連絡手段として防水ケースで保護したスマホを携帯するなど、万が一の備えもして楽しんでほしいです。 大庭 SUP初心者が誤って遊泳区域内に入ってしまうことがあるんですが、慣れていないがゆえに区域外に出ることも難しく、助けに向かうこともあります。 小林 多様な種類のマリンスポーツを楽しめるのが逗子海岸の魅力。安全に気を付けるのはもちろん、ルールやマナーを守り、お互いゆずり合いながら利用してもらえるといいですね。また、万が一に備えて個人賠償責任保険に加入しておくこともおすすめします。 SOSは無理せず頼って正解 小林 遠浅で、なだらかに深くなっていく海底が、最近は急に深くなる“どんぶか”が増えているように感じます。 内山 満潮のときなど、水面の高さが上がっているときに勢いよく海に入っていくと、急にドボンと足がはまって溺れる危険がありますね。 大庭 私たちもパトロールや監視所で常に海の状況を見ていますが、もし海水浴中に溺れている人を見かけたら、一人で助けに行かず、まずは大声で近くの人やライフセーバーを呼んでください。すぐに救助に向かいますし、必要に応じてこちらで消防などに通報します。 内山 ライフセーバーがいないときは119に、要救助者の状況と場所を通報してください。海は現場の特定が難しいため、通報者がいる場所に向かうこともあります。 Question3 Answer 海水浴期間中なら砂浜にいるライフセーバーに伝えよう そのほかの通報先 119 (消防)事故やけがなどの緊急事態 118 (海上保安庁)海上沖での救助や捜索 110 (警察)海岸でのトラブル “たすけてサイン”で大きくジェスチャー 小林 風の影響を受けやすいSUPと同じで、海水浴中に浮き輪で浮いていたら知らずに風で流されていて、浜に戻りづらくなることもありますよね。 大庭 そんなときは、浜に向かって手を左右に大きく振ってほしいです。これはライフセーバーにとっての“たすけてサイン”。発見次第、すぐ救助に向かいます。 内山 いざというときは無理に自力で戻ろうとせず、早めにSOSを出しましょう。SUPなら逗子海岸ではなく、近くの岸に向かう判断も時には必要です。 Question4 Answer 「たすけてサイン」は手を上げて大きく左右に振って 事故に気を付けて、海で楽しい時間を過ごそう 内山 熱中症や日焼けにも注意を。定期的に海から上がり、日陰での休憩と水分補給を心掛けましょう。 小林 腰に装着できるペットボトルホルダーもあるので、マリンスポーツ中も水分補給を忘れずに。 大庭 海での事故を未然に防ぐために、ささいなことでも気軽にライフセーバーに相談してください。 小林 山に囲まれて奥まった逗子海岸は、波も穏やかで海水浴にもマリンスポーツにも最高の海岸。海上保安庁からも「マナーも守られている、いい海ですね」とお褒めの言葉をいただいたこともあるぐらいです。 内山 この夏も安全に、そして安心して逗子海岸を楽しんでもらえたらと思います。 ポイントや備えを知って、夏の楽しい思い出を。逗子海岸でお待ちしています!